原文からかなり離れ、現代語訳と言うより、現代版「田辺源氏」と言っていいほどに思いきった新しい源氏物語を再構成している。 古風な晶子源氏より優艶でふっくらしている。著者の読み馴染んだ源氏の魂の深部を、現代の読者に深々と語ろうとしている。縦横に場面を切り取り、人物を膨らませ、人々に優しい言葉を語らせている。桐壺・帚木で源氏を読まなくなる読者もあるが、本書は初めの両巻がなく、三巻目の空蝉の巻から語り始めている(雅)
一番オススメの訳です。おすすめ度
★★★★★
初めて源氏物語を読破したのはこの作品でした。
この本を読む以前に子ども用のマンガで入門のようなものを読んで
興味をもっていたのですが
念願の源氏物語を読破できたことでとても幸せだったのを覚えています。
それからほとんどの有名な源氏物語の訳を読んできましたが
やはり最後に一番お話として面白く書かれているのはこの本だと
気づきました。ほかの方もレビューで書かれていましたが
読みやすく独特のテンポで、まるでやさしいメロディーのような、
訳者の源氏物語への愛情までもが伝わってくるような文体です。
内容もとてもわかりやすく面白く作ってあり、原典では分かりにくい
登場人物の感情の流れも書かれていて学問ではなく小説として
しっかりとした読み応えがあります。
これがきっかけで私は古典に興味をもち、原典を読みたくなりました。
そのときから古典は勉強でははくなり、楽しみや趣味になってしまいました。
この本にはそれだけの力があると思います。
とてもオススメです。
心に染み入る日本語おすすめ度
★★★★★
現代語訳以外の、アレンジされた源氏物語は数多くありますが、個人的にはこの本がとても好きです。
美しくやわらかな(決して難解な表現はないです)ことばが、登場人物全てに愛情を持つ田辺さんによって、リズミカルに紡がれています。
たおやかな文章に心が解きほぐされ、ことばが染み入ります。
こちらは原文に忠実に訳されたものではなく、田辺さんによる「新しい源氏物語」です。
厳密な意味での受験対策などには、忠実な現代文訳の併読が必要かと思います。
私は受験勉強で大筋を知った程度だったのですが、この本(全3巻)を読んで源氏物語に対するイメージが変わりました。単なる男女の愛憎劇に終わりません。
やさしい文なので、こま切れの時間を利用して読むことも出来ますが、時間や精神的に余裕のあるときに何度も読み返すのにも十分耐えうる本です。
言葉が時と共に変化していくことは自然なことですが、TPOにあわせてこのようなたおやかな言葉を使い分けられると、とても素敵だと思います。
語彙力もUPしますので、興味が持てたならぜひ手に取っていただきたい1冊です。
高校生の頃の思い出
おすすめ度 ★★★★☆
高校生の時、”源氏物語は古典の王道だから受験のためには是非読んでおくべき”という理由でこの文庫本を購入しました。でも、内容のおもしろさと読みやすさについつい勉強を二の次に一気に読破しました。あの頃は源氏の君に憧れましたねえ~。以来、源氏物語が試験に出るとうれしくなったものです。