近未来おすすめ度
★★★★★
従来の人種・出自等の差別ではなく、DNAというレベルでのセレクションが行われている時代。
生前に遺伝子操作により、より「優秀」な子供を「造る」ことができるが、それによらず自然の摂理に委ねられたのが主人公ビンセントである。
不幸にして「優秀」に生まれなかった彼は、自身の夢である「宇宙飛行士」になるために、禁忌を犯していく。
こう書くと、どろどろした映画みたいですが、映像はすっきりとした綺麗な映画です。
私が特に気に入っているのは全編にわたる、静寂感。
例をあげると、車が内燃機関ではないようなのです。モーター音らしき音が聞こえたので電気だろうか?
それだけに、より根源的なレベルでのセレクションという社会設定の「汚さ」と「人間のいびつさ」が目立つと!思う。
映像による文学作品。おすすめ度
★★★★★
近未来物の設定ではあるが、SF映画ではない。夢を叶えるために命を賭けるひたむきな青年、その彼に自分の叶えられなかった人生を託す青年。登場人物や風景の非現実的な美しさ、グリーナウェイとの相性よりもいいのでは、というナイマンの素晴らしい音楽、このSF的セッティングであるからこそ人間的な熱い心の動きが切々と伝わる。
観たあとの感じは、上質のイギリス文学を味わったかのようだ。
この映画の存在に感謝したい
おすすめ度 ★★★★★
表現する言葉がみつからないほどの素晴らしさ。そう遠くない未来、人種差別はもはや肌の色ではなくDNAレベルなのか・・?この映画は遺伝子の問題性でなく、無数なメッセージが込められ心の琴線に、魂に訴えかけてくる未来に残さなければならない映画である。カメラマン出身のアンドリュー・ニコル監督の映像が、クラシカルな雰囲気の神秘的な近未来を映し出す。全てが不可能に思えたときに見て欲しい。最後に、苦悩を抱えた最高遺伝子を持ったエリートを演じ、これがハリウッドデビューとなった英国俳優のジュード・ローの素晴らしい演技は特筆に価する。彼が演じたことでこの映画は輝きを増している。
概要
遺伝子工学の発達によって優秀な遺伝子を組み合わせて生まれた「適性者」が支配し、人間の生活も固定化されてしまった未来世界。そんな折り、自然出産で生まれた「不適性者」のヴィンセント(イーサン・ホーク)は、宇宙飛行士になる夢をかなえるため、遺伝子適性をごまかして宇宙局「ガタカ」へ入社。しかし、ある日社内で殺人事件が起きて、ヴィンセントが犯人と疑われてしまい…。
DNA優先の管理未来社会の中で、夢を追い求める青年の苦悩と希望を描いたSF青春映画。ヒロインにユマ・サーマン、ほかジュード・ロウ、アラン・アーキン、アーネスト・ボーグナインなどキャストも豪華。監督はニュージーランド出身の新鋭で『トゥルーマン・ショー』の脚本で注目されたアンドリュー・ニコル。(的田也寸志)