遺伝子の優劣が、人生のほとんどを左右してしまう未来を舞台にしたSF作品。青っぽい画像やマイケルナイマンのゆったりした曲などが相俟って、全体的にしっとりした作品に仕上がっている。
夢のように美しい映画おすすめ度
★★★★★
まさかこんなに心にいつまでも残る映画だとは、見る前は少しも予想していなかった。
兄弟ふたりが海の中をどこまでも泳いでいくシーン、夜明けの宇宙船ベース、全編すみからすみまで
静謐な美しさがただよう。
30年しか生きられないと知りながら、もしくはそれゆえに、宇宙へ旅立つ夢にすべてをささげる
ビンセント。
どの映画を見ても、いつもちょっとだけ悲しそうな顔をしているイーサン・ホークのためにあるような役だ。
相手役のユマ・サーマンもとても美しく撮られている。
そしてこの映画で一番の儲け役はジュード・ロウのユージーンだろう。
生まれながらのエリートでトップ・アスリートだったのに、事故で半身麻痺になる。
物に倦んだような、投げやりでいらだっているユージーンはジュード・ロウが演じると
とにかくさまになる。車椅子に座っているせいか、顔の大きさも今回はあまり気にならないし。
ラストの展開も、他の映画だったらきざすぎると思ったかもしれないが、みなが感情を抑えた
静かなガタカでは、これしかない完璧な終わり方に思われる。