自分の記憶変えれるおすすめ度
★★★★★
脳の研究者ラマチャンドラン博士の研究手法である、稀有な症例の患者を深く調べることによって、普通の人間の行動や脳の働きが解かれていくというのによく似ている体験だと思いました。
この映画は“前向性健忘症”という実際に存在する症例を観ている人が極上のサスペンスとともに、感情移入してこれまでの映画にないくらい疑似体験ができる点がすごい映画です。
疑似体験した結果、似たような経験がなくもないということから、自分自身の記憶にも不安を覚え、普通の人にとっても記憶や思い出は変わらないということは虚像だということを改めて考えさせられます。
記憶が不確かなものだからレナードの刺青やメモのように私たちも文字や記録をとります。その記録さえも映画では自分自身によって都合のいいように書き換えられ、映画を観ていて何を信じたらいいのか分からなくなり不安になります。
でも結局、レナードも私たちも自分自身によってすりかえられた都合の良い事実を信じて生きていくことが一番いいのではないのでしょうか。実際私たちもそういうことをよくやっているような気がします。覚えてないけど。
DVDを買うしかない
おすすめ度 ★★★★☆
一度観ただけではストーリーの流れは理解できなかった。
理解できなかった観客が何度も劇場へ足を運ぶように故意にしむけたのではないかという質問に「とんでもない、そういう計算はしていない」とスペシャルの中で答えていたノーラン監督。しかし一度みただけでは納得いかないのは確か。
DVDを買って繰り返しみるしか手はない。DVDには「時系列」に編集しなおしたものがわざわざ付いる。これを一度観てから、今一度本編を観るのは、結構新発見もあって、面白かった。
そのためにもやはりDVDを買うしかないでしょう。
概要
およそ10分間しか自分の記憶を保てなくなった男レナード(ガイ・ピアース)。彼は妻をレイプし殺害した犯人を捜し出すため、ポラロイド写真を撮り、メモを取り、大事なことは身体に入れ墨で書き記すなどして必死の行動を始める…と、ストーリーを書いてしまうとこうなるのだが、実際はドラマの展開を逆転させ、いわば連続TVドラマの最終回からいきなり見せられ、ラストが第1話に相当してしまうという、ユニークな構造で推し進めていく新進クリストファー・ノーラン監督によるクライム・サスペンス。
まるでコロンブスの卵のようなアイデアの勝利がきわだった作品だが、予備知識なしで接すると何が何だかわからなくなる危険性も大いにあり。記憶や思い出(=メメント)というものの不確かさを痛感させる心理学論的おもしろさが楽しめる。(的田也寸志)