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若き世代に語る日中戦争 (文春新書 607)

伊藤 桂一
おすすめ度:★★★★★
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戦史が、いま、あたらしい−GHQの呪縛を解く最後のチャンス
おすすめ度 ★★★★★

書評で見かけて気になり、本日購入。一読、忽ち引き込まれた。60数年前の中国大陸における兵隊さんの日常と、時折の命懸けの戦闘が、それを体験した著者本人の手で実に淡々、且つ生き生きと述懐されている。
 一次資料の力(真実)は、為にするでっち上げのプロパガンダより遥かに強いと、改めて実感した。
やはり、ある時代、ある状況に居合わせた人でなければ、その時代のことは理解が難しいのだ。 しかし、それを実現するのが戦史を書く人の筆力であり、それを読み解くのが戦後世代の債務だと思う。


もう間に合わなくなりつつあるが、せめてご存命の戦中派(就中、軍隊経験のある方)は、御自分の体験を子供・孫・若者・研究者に語り伝え、できるものなら自ら書き残して頂きたい。

読了してから奥付を見たら「諸君!2007年8〜11月号の連載に加筆修正」とある。既読感があったのは、実は数ヶ月前に一度読んでいたからであった。 しかし、新書になって散逸することがなくなり便利になった。 どの年代の人にも、お薦めする。



日本は昔も今も自己宣伝が苦手
おすすめ度 ★★★★★

なんとなく侵略戦争ということになっている日中戦争=支那事変の実態を、
北支・中支戦線に足掛け7年従軍した著者が、奥村土牛の孫娘の問いかけに応じ、
わかりやすく解説する。
慰安婦と駆け落ちした兵隊、みんなが首を長くして待った慰問袋、国府軍や
八路軍の動向を通報してくれる村人。日本軍も道路を作ったり学校を建てたり、
戦後残ってくれと懇願された衛生隊もあった。

それにしても支那事変というのは妙な戦争だったようだ。
何であんなに広い中国に兵を展開して8年も戦わなくてはならなかったのか。
日本軍は元々警備のつもりだったのに、国府軍にうまくおびき寄せられてしまった。
逃げる国府軍を追討する。そこへ八路軍が挑発する。それを深追いして逆にやられる。
そうかと思うと、日本軍の目の前で国府軍と八路軍が戦闘をやりだす。同盟軍のはずの
汪兆銘軍が国府軍に寝返る。敵と勘違いして日本軍が汪兆銘軍と同士討ちする。
もうぐちゃぐちゃになって、いつのまにか戦線が大陸に拡大し、やめるにやめられず、
終わってみれば侵略だと決めつけられた。国際世論を味方にした国府側にしてやられた。
戦闘に勝って情報戦・思想戦に完敗した。
支那事変の一部始終を見ると、なんとなく現在の日中関係にも通ずるものがある。



思想ではなく一人ひとりに敬意を
おすすめ度 ★★★★☆

 私達は「戦争に負けた人の話なんか聞きたくない」「南京で虐殺をした人の話も聞きたくない」と思っているのではないでしょうか。そして、戦争に駆り出されて死ぬ覚悟をきめて戦った一人ひとりの人間のことを知らないで済まそうとしているのではないでしょうか。果たして彼らに敬意を払っているでしょうか。そういった大正生まれの戦中世代はあと10年もすればこの世からいなくなってしまいます。昭和の戦争が本当の「歴史」になってしまう日が近いです。この本は戦中世代からの貴重なメッセージだと思いました。



コンパクトに日中戦争と日本軍について学ぶために
おすすめ度 ★★★★☆

日本では未だに占領下の洗脳工作(W.G.I.P)が効いているせいか、「戦争」「日本の戦争」と聞くと途端に過剰な拒否反応を起こしてしまう人が多い。「日中戦争」と聞くと、「侵略して中国人を虐殺した!」と贖罪意識に陥ってしまう人が多い。そんな人、こういった本を一度は読んでみてください。
個人的に、近代史をよく勉強しているため、そこで培った史観を裏付ける証言本という印象ですが、学校教育だけ受けた人たちには、驚くような内容かもしれません(個人的には「中共軍って意外と厄介だったんだな」ってのが新鮮でした)。

中共史観によれば日本軍VS中共軍ですし、日本の一般的な史観だと日本軍VS中国軍ですし、少し勉強した人にとっては日本軍VS国民党軍(時々、中共軍)だろうと思うので、時に、日本軍&国民党軍VS中共軍といった構図は意外に思うかもしれませんね。そんな複雑な構図が日中戦争なのです。
「ここに書いてあることは嘘!」と頑なに反発する左翼は単なる勉強不足かホラ吹きでしょう。
そもそも、歴史を学ぶことは保守的な作業であり、歴史を破壊することが左翼の任務なのですから。

本書は中国戦線に7年間、従軍した元兵士へのインタビュー形式の証言であり、雑誌「諸君」に連載されたものであるが、未読だったため楽しめました。戦中世代から戦後の日教組教育世代へと語る切実なメッセージである。


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辻灯子 伊藤桂一 関根勤