憑きものは落ちたか?おすすめ度
★★★★★
待望の「完結編」です。「刑務所の中」から始まり「刑務所の前1,2」に続く「刑務所サーガ」、ここに完結!一体、どうやって話をまとめるのだ?と心配した読者も多かったと思います。この本では作者が「悟りを開くまで」がよくわかります。現実と寓話が渾然となった脳内ワールドが終熄に向かうのは、なんだか寂しい気持ちにもなりますがとにかく読み応えがあります。これで作者の「憑きもの」も落ちてしまったようですね。次はどんな「憑きもの」を見せてくれるか、実に楽しみです。
刑務所の直前直後
おすすめ度 ★★★★★
1,2巻で同時?進行していた幾つかの物語が、いちおう収束します。花輪さんの逮捕、起訴、保釈、裁判、判決、拘置所入り、そして仮釈放と、傑作「刑務所の中」の前後が、例によってリアルな細密描写で描かれています。「刑務所の中」や1,2巻を購入した方は是非買いましょう。黙秘を決意していてもあっけなく白状せざるを得ない気持ちにさせられる色々な「工夫」や「儀式」が存在することが分かります。「犯罪を犯した駄芽な奴」という「役割」をいつのまにか担わされて行くのです。家畜に焼印するように、スティグマを心に刻印されて行く過程が実に印象深く迫ってきます。