何もせずに平成三十年を迎えた最悪のパターンであり、現実は多少優しい。例えば石油価格の急騰によりニッポン自動車(恐らくトヨタ)が赤字になるとあるが、現実は逆で石油急騰が追い風となりホンダとトヨタは共に今年過去最高益を記録した。特にトヨタは近年世界一の生産台数になる。つまり希少資源急騰が実際にあったとしてもエコ技術、リサイクル技術が高い為に他の先進国よりは優しい結果になる。自動車業界外資化も現実は逆で富士重工(スバル)が国内組みに返り咲いた。政治も現実は無風どころか大嵐が吹いている訳だ。ただ少子化、国家財政、大増税の問題は最悪パターンに近い為その点は参考になるだろう。
未来学としては秀逸、小説としてはいまいちおすすめ度
★★★★☆
官僚主導の日本の行政による閉塞感の継続をベースとして、円安や資源危機が重なると、日本経済・社会がどのように変化するかのシミュレーションとしては非常に生々しい。すべてがこの小説のとおりにはならないにしても、ひとつひとつの要素は十分に起こりうることから、もう少し我々も危機感をもって現在と将来をどう生きるかを考えるべきかも、と感じた。啓蒙的な本ではあるが、登場人物を無理やり戦国武将になぞらえていることが、読みものとしては不自然で減点ポイント。ただいろんな視点で歴史・現在の環境・今後の日本を考える機会を与えてくれる良書だと思う。
漫画にすればよかったのにおすすめ度
★★★☆☆
戦国武将になぞらえたわざとらしい配役、とってつけたような女性キャラたち…予測小説として示唆深い内容であるだけに、この妙なおちゃらけ感との相容れなさ、最後まで馴染めなくて消化不良ぎみになったことが残念。いっそ漫画にしてしまえば違和感がなかったんじゃないかなぁ。木下某の孫悟空パフォーマンスやら、千野某主人によるサイバー茶室…漫画でしょ、これ。漫画で読んだら星5だったかもね。
日本の将来を真剣に考えさせられる。
おすすめ度 ★★★★★
平成30年に私は44歳。この本の主人公である木下氏とほぼ同じ年代で、いわゆる団塊ジュニア世代です。それだからこそ15年後の日本の状況がどのようになっているのかに興味があります。少子高齢化という必ず訪れる現実にどのように対応していくのか?規制の緩和はどこまで進んでいるのか?など興味は尽きませんが、この本ではこれらの疑問に対する答えを漏れなく用意しています。平成30年ではなく来年にでもこれらの規制緩和を行ってほしいと切に感じました。