若い頃、ベルイマンに凝った時期が有る。1970年代の後半に岩波ホールで『魔術師』、『夜の儀式』、『冬の光』の三部作を観たのが切っ掛けで、それからフィルムセンターや名画座で、『野いちご』や『叫びとささやき』を観て、ますます、この映画監督に惹かれた。(年が知れますが)
その時期に、ベルイマンに関するドキュメンタリーや映画雑誌で、『第七の封印』の主人公が死神とチェスをする場面を見て、その映像の造形美に打たれた。以来、この映画は、私の観たい映画の一つであったが、ビデオが無い当時、名画座でも上映されないこの映画を観る機会は、なかなか得られなかった。ようやく、フィルム・センターにおいてだったと記憶するが、この映画を観た時、正直言って、期待したほどの傑作ではなかった事に少々失望した。しかし、白黒映像の美しさは、さすがベルイマンである。特に死神とのチェスの場面は素晴らしい。(宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』に登場する顔無しは、もしかすると、宮崎監督が、この死神に触発されて創造した物ではないか?と言ふ気がしなくもない。)
ファウストおすすめ度
★★★★★
ベイルマンは昔から見てみたい映像作家のひとりだった。
欧州に多い哲学入りまくりの難解な作家だと覚悟していたが、
実にシンプルで古典的に説教ぽくありながらもコミカルで、
わかりやすいのに深いという、とても面白い作品だった。
そもそも古典とは本来至極シンプルでコミカルで
わかりやすいものなのかもしれない。
この映画に答えはない。
答えがあるとすれば、この映画を見た人間が
自分の脳内の限界でのみ得られた感情が答えだと思う。
なので、見てると答えが必ず見つかるハリウッド映画に
慣れた人々には、この作品は少々退屈かもしれない。
答えはないがヒントは満載。
ベルイマンが提示したヒントをどこまで拾えるか、
そうする事でどこまで思索を深めることができるのか、
そんな楽しみ方ができる映画でもあると思う。
10年後にもう一度見ると、また違った感想を持てるのかもしれない。
ペストに関するエピソードの数々は
ファンタジックでありながらもリアリティを感じた。
ラストシーンは非常に印象的で心に強く残る。
せつなくて滑稽で幻想的で美しさを感じた。
そして死神の広いオデコもえらい印象的。
わたしはこのシンプルな映画が好きだ。
ベルイマンてスゲーと思った。
にしても値段は高いぞー!!
楽しめる映画ではない。おすすめ度
★★★☆☆
確かに重いテーマを扱いながらなかなか面白く仕上げているとは思う。で、確かに現代にこういう映画はなかなか無い。
しかし、生と死という重いテーマを扱いながらも「考えさせられる」映画ではない。また、娯楽性が高いと他のレビューにあったが、正直に言って自分は何が言いたかったのか理解できなかったし、そこまで楽しめなかった。映像というべきか、ストーリーの進歩が遅すぎるのは退屈だった。また、白黒、スウェーデン語、というハンデもあると思う。すぐに見返したくなるような作品ではない。しかもこの日本語版の価格は高すぎる。