★残虐シーンは苦手だが、恐怖感は好きと言う方は必見★おすすめ度
★★★★★
過去に町の有力者達の裏切を受け、非業の死を遂げた者達が幽霊船に乗り、復讐にやってくる。
そのような物語だが、曰くありげな寂れた港町の雰囲気と、それを取り囲む美しい自然の対比。
主要な登場人物とラジオDJである主人公との、ラジオを通じた巧みな絡ませ方など
展開が極めてスムーズで上手い。
とにかくカーペンター監督は、名作「遊星からの物体X」でもそうだが、怪物や血を
画面に出さずとも、映像美と音楽で恐怖を演出してしまう天才だと、この映画をみて
改めてそう思った。
血しぶき残虐シーンが出るホラーは苦手だが、ゾクゾクする恐怖感は好き!
そのような方には、超お奨めな作品である。
めぐりあえない人おすすめ度
★★★★☆
そもそもホラー映画は全く生理的に駄目なので ほとんど見ていない。「シャイニング」など 好きな映画もあるが 「好きな映画が たまたまホラーだった」というのが実感であり 今後もホラー映画は見ないのだろうなと思う。映画好きを自称する小生も 映画の大きなジャンルを諦めてしまっているわけで 頭ではいけないと思う一方 目がうんと言わない。
ところで 本作は そんな小生が大好きな一本である。たまたまテレビで見た際に感銘を受けたので 今でも見ることにしている。一度見てしまえば どこで怖いかが分かってしまい 2回目以降は 余裕で見れるわけだが そうすると この映画のよさが分かる。
何が良いかというと 独自の美学である。閑散とした海岸線、冒頭の焚き火での昔話の場面、ラジオのDJの語り具合。表現しにくいが 皮膚にひりひりくるような美しさを感じてやまない。
こう考えると ホラー映画の中にも きっと好きになれる映画もあるのだろうが 残念ながらめぐり合うことは容易ではないかもしれない。地球の裏側には 僕を待っている女性がいるかもしれないが 残念ながらめぐり合う機会が無い。なんだか そんな気がしてきた。
ファンタジーとして秀逸な作品。おすすめ度
★★★★★
大好きな作品。海辺の小さな町、難破船、復讐するために蘇る亡霊たち、ひなびた教会、広大な砂浜、抜けるような青空に浮かぶ雲と地上を横切るその影、灯台、そして霧。
と、まぁ何と「クラシック」なホラーなんざましょ。
しかーし、それがパロディになることなく結実したのがこの作品なのだ。
だから他の方もレビューで述べられている通り安易な流血シーンなど必要ないのでしょう。
演出に関しては今更なので止しますが、この作品ほど海辺の雰囲気が出ている映画も本当に珍しいと思います。他に思い当たるとすれば「JAWS」と「思い出の夏」くらいかな。
映画としては星5つなのだが.....おすすめ度
★★★☆☆
映画の内容は、既に出ているので
ディスクの事を書きます。
この映画のキモは「霧」ですが
これが、DVDではやっかいなノイズが出やすく
ブレードランナー等もこの霧に泣かされています。
トリミングされたVHSや、以前出ていたLDにくらべると
暗部もしっかり出ているのですが
いざ「霧」のシーンになると
デッキによってはチラチラ、カクカクとノイズが出やすく
北米版にくらべるとフワっと広がって行かないのが残念。
音もモノラルでカーペンターのスコアも若干こもり気味。
「キンキン....」「ボンボンボン.....ジャーン!」と
シンセも無機質なBGMの怖さが若干薄れています。
北米版の5.1リミックスはちょっとやりすぎでしたが
モノトラックもちゃんと収録されていたので
国内版もそうして欲しかったです。
特典も少なく、ディスクとしては不満が残りました。
疲れるほどの緊張感おすすめ度
★★★★★
ザ・フォッグは全編に渡って緊張感が持続する映画だ。映画の冒頭の海岸線のパンショットから、カーペンター監督の美学を感じずにはいられない。特に後半、霧の描写の見事なこと。まるで生き物のようである。この映画では血が一滴も流れないが、それでも十分に怖い。
カーペンター監督は、血糊を多用する多くの凡庸なスプラッター映画の監督たちをせせら笑うかのようである。観客をこれだけ映画にひきつける演出力は賞賛すべきものであろう。ザ・フォッグは観客を恐怖のどん底に突き落とし、くたくたにさせ、かつ映画的快楽を与えて幕を閉じる。
概要
ジョン・カーペンター監督が出世作『ハロウィン』に続いて放った恐怖映画。アントニオ・ベイの海辺の村に、奇怪な霧が発生。そこから現れたゴーストたちが、手に持った剣で村人たちを次々に襲っていく…。
閑散とした海辺の村、そこで行われる百年祭。灯台のラジオ局から流れるDJのトークと音楽、そして100年前に難破した船の謎。恐怖を盛り上げるための舞台装置を充分。ところがカーペンター監督は、即物的な恐怖を演出することよりも、そのシチュエーションを丁寧に描くことを優先させた。その結果、悲鳴を上げるほどの恐怖シーンはないが、惨劇に至るまでの描写の巧みさが光る知的な恐怖映画となった。光る霧がドアの隙間から侵入する映像は見る者の想像力をかきたて、ジャネット・リー、ジェミー・リー・カーティスのスクリーム・クィーン母娘の共演が期待感を倍増させる。(斉藤守彦)