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グッバイ、レーニン!

ヴォルフガング・ベッカー
おすすめ度:★★★★★
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信じていたものが突然消えた時に人は何を思うのか
おすすめ度 ★★★☆☆

東ドイツに暮らす青年の母が心臓発作で倒れ、意識不明の間に
今まで暮らしてきた東ドイツが崩壊してしまうお話。

主人公アレックスは心臓の悪い母にショックを与えないように
旧体制が続いているかのような芝居をすることを決意します。

ゴミ箱をあさり、東ドイツ時代のピクルスやジャムの瓶を拾ってきては
西側の食材を詰め替えて母に食べさせたり、少年少女を連れてきてコーラスを
させてみたり・・・。
だまされているお母さんも気の毒ですが、一生懸命東ドイツの雰囲気を
作り出しているアレックスの姿の方がむしろ気の毒に思えてしまいます。

国が分裂したり、分裂した国が統一したりと我々日本人には想像しがたいことですが、
信じていた国や体制やお金がある日突然消えたとき、人は何を思うのか・・・。
割と軽めのアプローチでありながら、最後にズンと考えさせられてしまう映画です。



映画という「虚構」と映画の中の「虚構」
おすすめ度 ★★★★★

母親がこん睡状態に陥っている間にベルリンの壁が崩壊。
母親の病状を気遣って、壁の崩壊を知らせず、
東ドイツがまだ存続しているという「虚構」のために奔走するアレックスの姿をコミカルなタッチで描いている。
東ドイツの存続という「虚構」の世界を作ろうとする主人公の姿は、
自分の「祖国」を失ったという事実を受け入れることの難しさを映し出しているのかもしれない。
映画というフィクションの世界の中で、「虚構」の世界のために奔走する主人公。
二重の「虚構」がうまく構成された作品。



ピクルスをつまみに「グッバイ、レーニン」
おすすめ度 ★★★★★

白井 聡の「グッバイ、レーニン」の冒頭で執筆への動機に絡めて紹介されている映画(DVD)「グッバイ、レーニン」を借りてきた。
デビット・ハミルトン調のソフトフォーカスの中で小さな姉弟が、窓越しおやつに手を伸ばして母親にしかられるシーンが最初に現れ、他の作品のプロモーションだろうと思って見過ごしていると、「もう始まっちゃっている」のだった。
ドイツ統一(東ドイツ崩壊)を挟んで記憶喪失をしてしまった東のピュアな教育者を母親に持つ、アレックスという青年と家族の物語。
母親が持っていた祖国への愛と同時にあったであろう打算に対して、社会主義本来の「理想」により漸近していく息子の姿がけなげ。
社会のあり方への根源的問い掛けとしての「レーニン現象」の気分をうまく漬けあがったピクルスのように賞味(笑味)させてくれた。暖かい映画だ。



クリスティアーネの知らないこと
おすすめ度 ★★★★☆

東西統一にわくドイツチームがサッカーW杯で優勝を勝ち取ったことも記憶に新しい。その統一間もない旧東ドイツのライプチヒを観光で訪れたことがあるのだが、人はいたって純朴、とにかく金をがめつく儲けようという気配がまるで感じられなかったのを覚えている。なにせホテルの掃除係がチップを受けとろうとしなかったことには驚いた。東と西の給与格差が半端ないと案内をしてくれた地元のガイドさんが泣きを入れていたのも印象に残っている。この映画は、そのドイツ統一を知ることなしに意識不明になってしまった母親がショックを受けぬよう、意識を回復した母親の前で必死で<統一前の東側の生活>を取り繕う家族の奮闘が、面白おかしく描かれているのだ。

TVを見たいとごねる寝たきりの母親に、仕事仲間とやっつけで旧東独のニュース番組を作ってしまうくだりはかなり笑える。ちょっとブラックな旧政権へのあてこすりと、主人公アレックスの社会主義体制に対する理想がないまぜになった自家製ニュース番組は、実際のドキュメントフィルムがうまく編集されていて、見ているこっちが騙されるくらい精巧にできているから面白い。そんなコメディの要素ばかりでなく、幼い頃母親と子供を捨てて西側に亡命した父親との再会シーンも織り込まれており、ホロリとさせる演出にもぬかりがない。

このドイツ統一という一大イベントは、ドイツ人特に旧東独の人たちにとっては晴天の霹靂であったことがよくわかる。戦後教育で天皇は人間だと告げられた日本人と同じくらいのインパクトがあったにちがいない。ベルリンの壁崩壊のビフォー・アフターを、唯一その事実を知らない母親クリスティアーネの面前とそれ以外における取り巻き連中のあたふたぶりでリアルタイムに比較できるという、非常に練られた脚本が素晴らしい1本だ。



愛のある嘘
おすすめ度 ★★★★★

私事で申し訳ないですが自分は途中いろいろ楽しませてくれながらも
見終わった時にはとにかくこの1シーンの為に、この感情を描きたい為にこの映画を作ったんだなと
感じさせてくれるタイプの映画が一番好きです。(多くがこのパターンかも知れませんが。)
共産主義への理想と絶望や国を愛する気持ちというのが今の日本人は希薄な方だと思うのでもしかしたら
主人公や母親への共感がいまいちしにくい映画かも知れませんが母親は西ドイツへ亡命した旦那を振り払うようにか
社会主義教育に熱心に打ち込み、主人公はそんな立派な母親と理想の東ドイツを誇りに思い幼少期を過ごします。
しかし大人になると社会の矛盾に気付き尊敬してた母親も昔のように素直に尊敬できる人ではなくなってしまう。
そんな時、母親は心臓発作で倒れ昏睡状態に。そしてベルリンの壁が崩壊、東西統一されすっかり落ち着いて来た頃に
母親は意識を取り戻す。精神的ショックを与えない為に主人公はひたすらなくなった東ドイツをドタバタな感じで
演じ続けていきます。しかしさすがにボロが出る、その度にとんでもない嘘をついて東ドイツを再建していきます。
それも母が、昔の自分が夢見た理想の国に。しかし母親は本当に国を愛していたかというと、、、。
政治的なテーマが絡む映画ですがそれは話の土台に過ぎないと思います。
クライマックスは自分の予想の一枚上を行くものでとても感動しました。
母親の息子を見るあの目は忘れられません。
母と息子、お互いがお互いの為に嘘をつく。墓場まで持って行く嘘というのは大抵悪いものですが
どうせなら素敵な嘘を持って行きたいものですね。


概要
最近のコメディはカップルのロマンスなどを描くものが多いが、『グッバイ、レーニン!』は、単に面白いだけでなく新鮮味がある意欲作である。映画は共産主義が終焉する前の東ドイツから始まる。主人公アレックス(ダニエル・ブリュール)の母親(カトリーン・ザース)は生粋の共産主義者で、彼が抗議デモに参加して警官に捕らえられたのを見て、心臓発作を起こしてしまう。彼女は8ヶ月間昏睡状態に陥ったが、その間にベルリンの壁が崩壊してしまった。目を覚ました母親の弱った体にショックを与えたくないアレックスは、共産主義がまだ存在していることに偽ることにした。『グッバイ、レーニン!』では、アレックス、母親、そして彼らを取り巻く人々の世界において、ウィットに富んだ風刺と現実世界のバランスがうまく取られている。面白い映画で、とてもお勧めだ。(Bret Fetzer, Amazon.com)

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