被疑者は実は被害者 おすすめ度 ★★★★★
ラストは感動というよりむしろ、憤りやむなしさ、せつなさを強く感じた。経済大国日本に出稼ぎにやってくる不法残留の外国人女性。故国の貧しい一家を支えるために、女性が稼げる仕事は決まっているのか。ストリップ劇場で、髪の毛まで染めて西洋人をよそうよう指示する芸能プロ、それを喜ぶ日本人。だから主人公の女は自分がフィリピン人であるという本当の国籍を偽らなければならなかった。差別問題に人間のいやらしい意味での性の問題が絡んでくるなんてなんとおろかで悲しいことか。彼女のように、芸能プロから、また被害者の男からもここまで侮辱された背景を考えると、それは十分な殺人の動機になり得ると思う。しかしながら裁判の最後に裁判長が言った「あなたが経験した日本がこの国のすべてではない」というように、彼女自身、「こんな事件を起こしてはじめて、この国にもフィリピン人を低く見ない、暖かい人がたくさんいることを知りました」と言って謝罪している。もしこんな差別が現在でも日本で起きているとすれば、芸能プロ、そして客の男たち、あんたたちには人間の資格なんてない。
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