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男たちの大和 / YAMATO

佐藤純彌
おすすめ度:★★★★★
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映画としての出来は褒められたものではないが
おすすめ度 ★★★☆☆

映画としては、名作「新幹線大爆破」の佐藤純彌とは思えない凡作。
過去の戦争映画の数々と比較しても人物は極めて類型的だし、豪華出演陣の割りには引き込まれる魅力も感じられない。が、今の時代にこのようなシリアスなテーマのものがヒットしたことそのものが興味深いし、軟派なものばかり流行るのもおかしいと思うので、☆三つ



欠点の目立つ映画
おすすめ度 ★★★☆☆

この映画の欠点については、”もなりえる”というレビュアーの方がすでに多く指摘されているので、ここでリピートすることはないだろう。それぞれに思い入れがあるようだが、映画で大事なことは現実性(リアリティ)であることをこの映画は忘れてはいないか?

映画にせよ小説にせよ、それを見た者や読んだ者が「映画じゃないか」「小説じゃないか」と思ってしまったら負けである。観客や読者はそれが映画であること、あるいは小説であることを忘れて引き込まれてしまうからこそパワーを発揮するのである(もちろんコメディやファンタシー映画にはまた別な枠組みのリアリティがある)。その意味で、この映画は、あまりに「なんだ映画か」と思わせる部分が多すぎるように思える。

誇張された演技、陳腐なセット、明らかにCGとわかる戦闘シーンなど、きりがない。意気込みは認めるが、名作には決してなり得ない作品だと思う。日本映画が最近いい興行収入を上げているようだが、内容を見るとどうもおそまつである。



海の恐竜「大和」は進化の袋小路に迷い込んだかのようにして滅びていった・・・・。
おすすめ度 ★★★★☆

お正月映画では洋画の「キング・コング」と並ぶ邦画の目玉でした。
日本艦隊のシンボルにして最後の砦、「海の恐竜」戦艦大和と運命を共にした人々を、現代日本と時代をリンクさせて描く。

太平洋戦争末期・・・・・。日増しに形勢が不利になっていく日本軍。海軍は事実上壊滅状態となり、戦艦大和はその巨体の真の力も発揮できぬまま、ただ生き恥を晒しているに等しい状態だった。
莫大な建造費を費やして造られた艦も、計画時には「不沈艦」「世界最大の戦艦」などと賛美されたが建造に時間が掛かり過ぎ、完成時にはすでに海の戦闘の主役は「飛行機による爆撃」に取って代わられていた。
そんな海戦の進化の過程から淘汰される定めにあった「海の恐竜」は、本土への空襲の激しさを増す中、沖縄への出撃を命ぜられる。最早、勝ち目は到底無く、沖縄到着の前の撃沈を覚悟しての乗員・3333名を乗せての「死出への旅路」であった。

視点は下級仕官から語られる。年にして現在の高校生に当たる16歳・17歳の者までもが戦場へ赴かなければならなかったという衝撃。少年たちの準備していたはずの「死への覚悟」も実戦の苛烈な経験の前では、まるで泡の如く儚く砕け散るのみであった。迫り来る数百機の爆撃機が韋駄天の速さで視界を駆け巡るのに対して、それを迎え撃つ「世界最強のはずの戦艦」の攻撃は大半が下級仕官による「手動作業」だった・・・・。
巨体ゆえの小回りの利かなさに、大和は群がる戦闘機の「格好の的」と成り下がるシーンの数々は悲劇すらも通り越して「悲惨」のひとことだ。弾丸は補充できても、それを運び、込める人間の補充はできない。爆撃が命中するたびに仕官の血が飛び散り、命が失われ、大和自身の攻撃も沈黙せざろう得なくなる。
「日本版プライベート・ライアン」といっても差し支えの無い戦闘シーンの迫力は戦艦の「なぶり殺し」という表現がピッタリと合っていて、堪らなかった。
数時間も持たずの沈没は、遠く九州の鹿児島県の岬からも吹き上がる炎が目視で確認できたそうだ。
海上にからくも難を逃れて救助されたのは250名ほど。残りの3000名を超える人員は大和と共に海の底に沈んだ。配置場所の違いで生死が分かれたと思われる。爆撃を受ける可能性は高くとも、魚雷による損壊、そして海水の流入によって逃げ場を失い溺死する危険の高かった船底よりは甲板のほうが遙かにマシだった。

エピソードは終始「悲しいもの」ばかりが続く。主人公が九死に一生を得て故郷に帰るも、無事を祈って待っていてくれていたはずの少女は広島で原子爆弾の犠牲となっていた。唯一の希望は、片目を失っていて最後の戦いの前に潜り込んでいた将校が生存していたこと。そして戦後は身寄りの無い子供たちを多く引き取って育てていたことだ。老人となった少年との再会は叶わなかったが、その娘は父の遺志を継ぎ「大和犠牲の3000名超の兵士の英霊に導かれるようにして」約束の場所へとやってきた。かつての戦友であるところの男を「道案内役」として従えて!。
「救いようの無い展開」に最後の最後で指し示された「希望」。大和の沈没場所、墓所であるところの海からの帰還の舵を取ったのは戦争を知らない「若い命」だった。
「この生命を守るために我々は戦ったのだ!」
そう大和と共に散った3000名の命が、そして戦争を通して失われた多くの生命が無駄ではなかったと信じることの出来るラストシーンに、映画の冒頭で調査のために数十年ぶりに海底から引き上げられたという「大和の遺品」と共に最後に「観客自身」も深い悲しみの海底から浮上できるのだ。



軍事オタクは観ない方がよい。というか観るな。
おすすめ度 ★★★★☆

この映画の批評を拝見していると、軍事オタク知識に拘った非常に的外れな意見が多すぎるような気がします。映像に大和の左舷しか写ってないだの何だのと、史実と比較して突っ込むのは別に構いませんが(私はこの様な事で映画の批評をする人ははっきり言ってKYだと思っています)、この映画は軍事知識に詳しくない人の鑑賞にも耐えられるように脚本がされた映画です。観る際にはもっと素直な考えで観るべきですね。映画で描きたかったのは大和特攻(菊水作戦)に参加して死んでいった若者達や、残された者達あるいは生き残った者達の苦悩を表現し、菊水作戦の意味や十代程の若者が戦い戦死していかなければならなかった時代を考える作品なのです。史実に沿った映画を観たいと言う人は、自らメガホンを取って制作するべきです。



別れの連続
おすすめ度 ★★★☆☆

 映画館で見たとき、昼間にもかかわらず中高年(というか初老)の男性たちで結構いっぱいで、それがみんな泣いたりしていて、びっくりしました。もうそのことに何だか感動して、私の涙腺も緩んだのでした。
 映画は戦友との別れ、恋人同士の別れ、母子の別れ、ともう、別れのオンパレード。別れの見本市です。別れは本来、一番盛り上がる場面なんでしょうが、後半はほとんど別れの連続なので、だんだん麻痺してきます。こんな緩急のないクライマックスばっかりみたいな映画でいいんでしょうか?でもこれがお年寄りにとってはいちいち泣けるのかも知れません。
 場面の一つ一つはなかなかいいところもあります。蒼井優も良かったし。大和のセットも見事です。戦闘場面は「ライアン以後」なのでかなり迫力ありました。でも、役者の演技があんまりにも型どおりの熱演過ぎたり、ノレない場面もあります。それで、全体の評価としては、とにかく熱のこもった映画ではありますが辟易する、といったところ。見ていて感動しそうになったり、しらけそうになったり。もっとすっきり感動させて欲しかったです。


概要
2005年4月。鹿児島県の漁師・神尾(仲代達矢)はかつて戦艦大和の沈んだ地点まで一人の女性・内田真貴子(鈴木京香)を連れて行くことに。かつて大和の乗組員であった神尾は、およそ60年前の、あの戦争の日々を思い起こしていく……。辺見じゅんの同名ドキュメント小説を原作に、『新幹線大爆破』『未完の対局』などの巨匠・佐藤純彌監督が手がけた戦争超大作。実寸大の大和を建造しての撮影はリアルな迫力に満ちており、また当時の若者たちの厳しく熱く、そして哀しい青春群像が魅力的に綴られるとともに、組織と個人の関係性にこだわり続ける佐藤監督ならではの鋭い軍隊批判が垣間見られていく。戦時下の女性たちの描写もさりげなく描かれているのもいい。戦闘シーンの迫力は日本の戦争映画で最大規模のものであろう。その上で60年後の現代と対比させながら、明日への希望を示唆する構成も大いに功を奏しており、まさに今の時代ならではの深く温かい人間ドラマの傑作として屹立している。(増當竜也)

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