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北京の55日 デジタルニューマスター版

ニコラス・レイ
おすすめ度:★★★★★
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大味の英雄譚
おすすめ度 ★★★☆☆

大資本家サミュエル・ブロンストンが60年代初頭に立て続けに製作したスペクタクル大作の中の一本です。監督は『キング・オブ・キングス』で卓越した手腕を見せたニコラス・レイ。しかしいかんせん題材が良くなかったのか、ここではいささか精彩を欠いています。

舞台は1900年の中国。列強諸国を駆逐するためにおこった義和団の乱に対しての各国の抵抗が繰り広げられます。侵略されている側であるはずの西太后率いる中国皇帝府がなぜが悪者のように扱われているあたりから不快度が増します。加えて、列強諸国の行いに戒めを与えているわけでもないところが、本編をただのスケールの大きなアクション映画に降格させています。さらに、本筋にはまったく関係のないロシア貴族のスキャンダルに時間を割くあたりは、水増しなのではないかと思わせるくらいです。

これは薄味で大盛りのアメリカ風中華料理といったおもむき。すべてにおいて中途半端なのですが、巨大なセットと『ベン・ハー』や『史上最大の作戦』などでも活躍した戦闘シーンのプロ、アンドリュー・マートン指揮による迫力ある野外戦は圧巻。また、中国人の母とアメリカ人の父を持つ健気で賢い少女のひたむきさが胸を打ちます。彼女を主人公にしたほうが、数倍味わいのあるドラマが出来たのではないかと思います。



列強の時代
おすすめ度 ★★★☆☆

1900年におきた義和団事件を扱った映画。
主にアメリカ軍人とイギリス領事の視点で物語りは進み、彼らの苦悩が描かれている。

義和団の大挙して押し寄せるイメージ(これに残虐性と陰湿さもプラスされる)と
各国列強の整然と隊列を乱さずスマートなイメージの対比が印象的。

列強側の人間が感じた「なぜ故郷でもない場所で戦闘をしているのか。なぜ北京にいるのか」
という根本的な疑問は、身の危険を感じなければ浮かんでこない。
また、そのような疑問を感じながらも、列強各国の清における利益云々などの
駆け引きによって「撤退」という選択肢を隅においやる。

そのような列強の思惑によって、中国に住んでいる現地の人々の生活がどのようになるのかは
主として描かれていない。
現地人ではなく、外国人居留民やアメリカ軍人と現地の中国人との間に生まれた少女がアクセ
ントとして挿入されるのみである。

この映画は1963年に制作されているが、この映画制作と前後してアメリカはベトナム戦争
に突入する。

異国の地に出兵することとは一体何なのか。何のために出兵するのか。
この映画は、異国の地に関与する「先進国」の視点が如実に描かれているように感じた。

余談だが、清の皇太子が俗に言う中国人っぽくないので、序盤はずいぶんと混乱させられた。

1963年制作。


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