現実にあったらいいな。こんな泉のようなカフェ。おすすめ度
★★★★★
「バグダッド・カフェ」はその気怠い雰囲気の音楽(「calling you」)から想像していたのと違って、すごい楽しいコメディだった。
ドイツ映画だが、アメリカの砂漠が舞台。太っちょな女性がまあるくてほんわりとしていて、お茶目でかわいい。彼女には抗いがたい魅力がある。カフェに集まってくるお客と同じように、映画を見ている私たちまでもゆったりとしたおおらかな気分で寛げる1本。最初に本編が始まったときに目の前に広がる荒涼とした風景からは、その結末が予測できないほどの豊かな想像力と愛の湧き出てくる物語。
温かくて良質のファンタジー。
こういうカフェ、近所にあったら毎日行っちゃうナ。
癒しとは砂漠とまずい一杯のコーヒーからおすすめ度
★★★★★
荒涼とした砂漠に降り立ったドイツ人の夫妻。夫婦喧嘩の末に渇きを癒そうと入ったコーヒーショップのコーヒーは浅煎りのアメリカンコーヒー。思わず口から噴き出してしまうところから物語ははじまる。乾いた風と理解し合えない人間関係。幻想的な主題歌に乗せて引いたアングルのカメラが閉ざされた空間の人間模様を切り取ってゆく。言葉にできない不思議な感覚に囚われはじめたら、すでにこの映画を楽しんでいる。乾いた癒しの効果に浸れる魅力的な作品。
乾いているのにしっとりしている
おすすめ度 ★★★★☆
ハリウッド近くの砂漠を舞台にしたドイツ映画。
しなびたモーテルにたどり着いた太ったドイツ女。
彼女との関わりで塗り替えられていく世界。
全編妙なセンスだが、それがこれまた妙に良い。
逆光が暖かな画面を作り出している。
概要
文句なしに映画ファンをうならせる傑作。舞台はアメリカ西部、モハーベ砂漠にたたずむさびれたモーテル「バグダット・カフェ」。そこは日々の生活に疲れきったモーテルの女主人や、日夜遊びに明け暮れる娘、売れない画家、ピアノの弾けないピアニストなど、うだつのあがらない人々が集う場所だった。そこへやってきたのがドイツ人のジャスミン。彼女の出現は、徐々に周りを変えていく…。
本作は砂漠のように枯れ果てた人々の心に、たっぷりの水で潤いを与えてくれる映画である。砂漠色の黄色を基調に描いた映像には夕暮れ時の物憂げさがあり、バックに流れる名曲『コーリング・ユー』はひたひたと静かな感動を呼び覚ます。この歌が軽快なリズムに変わっていくにつれ、ジャスミンの魔法は花開き、人々に笑顔が戻っていく。ジャスミン役のマリアンネ・ゼーゲブレヒトの印象が強烈だ。87年、西ドイツ作品。(齋藤リエ)