あ、いけない おすすめ度 ★★★★☆
上の息子ふたりが家を巣立ち、10代の末娘と夫婦だけの暮らしになってから、著者は犬を飼いたくなった。まず奥さんの説得から。奥さんにしてみれば、子育ても一段落し、これから少しゆっくりしたいところ。そこで奥さんはこんな条件を出した。家の中で飼うのはダメ。キャンキャン吠える犬もダメ。毎日の世話の責任はご主人が持つこと。奥さんや娘にも扱える頭のいい犬であること。なかなか厳しい条件だ。ある日スーパーの掲示板で見つけたゴールデンレトリバーの子犬を見に行った著者は、差し出された子犬を見て「あ、いけない」と思った。
この「あ、いけない」と思った瞬間が一目ぼれの始まり。こんな出会いを経験した犬飼いはたくさんいるだろう。こうして森家の一員となったミント。ここからてんやわんやの毎日が展開される。当初厳しい条件を出していた奥さんが、子犬の可愛さに態度を軟化させ、外犬だったはずが玄関犬になり、廊下犬になり、ついには家族と一緒に寝るまでに・・。結局お世話の大半を奥さんがやり、ミントも家族のなかで奥さんに一番の信頼を寄せるようになる。
「あ、いけない」と思ったそのときの気持ちを持ち続け、家族と一緒に年を重ねているミントとの日々を綴ったエッセイです。
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