昭和日本の代表的風景へ作家の探訪記 おすすめ度 ★★★★★
昭和2年に持ち上がった。全国に公募、9320万枚、日本の人口より多い投票。日本の代表的風景。幸田露伴以下8人文学者が8つの風景地で書いた紀行文をまとめたもの。幸田露伴「華厳滝(瀑布)」吉田絃二郎「上高地(渓谷)」河東碧梧桐「狩勝峠(平原)」田山花袋「室戸岬(海岸)」北原白秋「木曽川(河川)」高浜虚子「別府温泉(温泉)」菊池幽芳「雲仙岳(山岳)」泉鏡花「十和田湖(湖沼)」8人の作家が数十枚にわたる探訪記を個性的にものしている。虚子は自句「火の国の筑紫の旅の日焼かな」を末尾に載せている。鏡花の結び文は「ひそかに思う。湖の全景は、月宮よりして、幹紫に葉の碧なる、玉の枝より、金色の斧で伐って擲ったる、偉なる胡桃の実の、割目に青い露を湛えたのであろう」と十和田湖を華麗艶美に表現している(雅)
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