未公開映像+メイキングも必見おすすめ度
★★★☆☆
本作は、作家スザンナ・ケイセンの自伝的小説に基づき、
精神を病んだティーンエイジャーの女性たちの友情と成長を描くものです。
ケネディ兄弟やキング牧師が暗殺され、
ベトナム戦争、ヒッピー、LSD…によって混乱する1960年代のアメリカ社会。
そんな中、内向的で作家を志望しつつ高校を卒業したスザンナは、
精神の安定を欠きクレイモア精神病院に入院させられる。
当初反発と違和感を募らせていたスザンナは、しかし、
そこでかけがえのない出会いと別れを経験する。
クレイモアは、スザンナが「大人」になるために不可欠な、
通過儀礼の場だった…。
本作は、精神疾患を扱う作品であり、
常に底流に流れるのは、正常と異常の境界の曖昧さに対する疑問です。
何をもって「異常」とし、その治療がなされ、退院が許されるのか?
しかし、その当否とは別に、若い女性たちの青春模様に着目しているため、
「薄口」で爽やかな作品に仕上がっています。
より深く楽しみたい方は、未公開+メイキング映像もご覧下さい。
また、女優陣の競演にも注目です。
顔のアップが多用される美しく脆いウィノナ・ライダー、
演技面でウィノナを凌駕する、パワフルなアンジェリーナ・ジョリー、
重要な役どころのブリタニー・マーフィー等々。
ただし、誰も17歳ないしティーンエイジャーに見えないのが難点です。
だぁうんたぁうんおすすめ度
★★★★★
ウィノナ・ライダー主演なのだけど、いつものイメージと異なるアンジェリーナ・ジョリーが実に見事な役どころでした。精神を病んでいる女性を美しくも破壊的に演じていて素晴らしかった。 他にはウーピー・ゴールドバーグや懐かしきヴァネッサ・レッドグレープ(映画「ジュリア」)と脇も固めていました。音楽も70年代で、内容はとてもシリアスで、つらい映画でもあるのだけど、心に残る、浸みる映画です。ギター抱えて主人公が歌う「DOWNTOWN」が今も心に響いてきます。
いい加減な邦題にマイナス1
おすすめ度 ★★★★☆
主役のウィノラ28歳、助演のアンジェリーナ24歳の時の作品。ウィノラ自身が精神病院に入った経験から原作に惚れ込んで映画化に望んだ意欲作。原作は1994年に出版されたスザンナ・ケイセン自身による実話。と映画を観終わって「17歳って誰のこと?」とまず思った。17歳は元より17という数字さえ出てこない。「17歳のカルテ」という邦題は当時に日本のマスコミで「キレる17歳」という言葉が流行っていたことからきたらしい。いい加減…。本作ではアンジェリーナがアカデミー助演女優賞を獲得した。そうした賞を得る俳優の演技はドングリの背比べだったりする年度もあるが、彼女の卓越した演技力は他のノミネート候補が誰であろうと授賞しただろうと思えるほどに凄い。アンジェリーナが名優ジョン・ボイドを親に持つ俳優の血統なのかもしれないが、子供の頃に自傷行為をする程に精神的に不安定な時期があっただけに役にのめり込めたのかもしれない。アンジェリーナやウィノラの熱演に牽引されてか他の俳優陣も好演している。迫真の演技を観たい人には必見の映画。